消費者被害

・誰もが経験する身近な問題
 消費者と事業者との間で締結される契約を消費者契約と呼び、みなさんが、日常で取引する契約のほとんどは、この消費者契約に該当します。そして、消費者と事業者との間には、持っている情報の質及び量、あるいは交渉する力に格差があることから、この情報力・交渉力格差を是正するために、不当な勧誘の取消権、不当な契約条項の無効などが、消費者契約法という法律で定められており、消費者契約法は、市民生活の基本法である民法の重要な一部として機能しています。
 これからの市民社会では、超高齢社会の進展により高齢者の消費者被害がますます深刻化していくこと、あるいはSNSやインターネット社会の進展により消費者被害の手口がどんどん悪質化・巧妙化していること、民法の成年年齢引き下げ(18歳成人)により若者の消費者被害がますます深刻化することが予想されます。こうしたことを踏まえますと、消費者問題は、今後、さらに重要な課題となるでしょう。


・契約の透明性、公平公正な取引の確保
 消費者問題については、消費者契約法だけではなく、経済法と呼ばれる法律、例えば、独占禁止法、不正競争防止法、景品表示法、特定商取引に関する法律、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律など多くの法律が関係します。これら諸法に共通する目的は、単なる消費者保護にとどまるものではなく、契約の透明性、公平公正な取引市場の確保にあります。
 消費者問題への取り組みは、一つ一つの事案を消費者保護の理念に従って適正に解決していくことが基本となります。しかし、みなさまが安心して取引生活を送るためには、事後的な紛争解決だけではなく、消費者契約法や各種経済法の目的を正しく理解した上で適正なルールを作成し、そのルールに従った公平公正で透明性のある取引市場を構築していくことが必要となります。
 そのため、当事務所では、個別の訴訟活動だけでなく、立法作業に関わり、専門的知見を立案担当者に提供する活動も行っております。


・企業・事業者にとっても必須
 このように、公平公正で透明性のある取引市場を構築することは、悪質な事業者を排除し、健全な事業者を保護することにもつながります。すなわち、消費者問題において、消費者を保護するということは、健全な企業・事業者を保護することと同じ意味をもちます。
 消費者契約に関する法律を正しく理解することは、企業・事業者の発展にとっても、今後ますます重要なものとなるでしょう。消費者問題について、当事務所は、多角的な視点の専門的知識・経験を有しておりますので、ご相談ください。