リレーコラム2022

検定にはまる  弁護士 吉田誠司
 私は名古屋の出身ですが、学生時代からもう30年以上京都に住んできました。日本じゅう、世界じゅうから友人知人が遊びに来るたび、京都のことをあれやこれやと質問されます。だけど30年住んでも、この街のことは奥が深すぎてなかなか知り尽くせません。それなりに知っているフリをしていますが、いったい自分はどれくらい京都のことをきちんと知っているのだろうか…そう思い立ち、「京都検定」(京都・観光文化検定試験)を受けてみたのが平成28年のことでした。

 京都検定は、1級、2級、3級とあり、初心者は3級から受験するように勧められますが、私は実情をよく知らずいきなり2級に申し込んでみました。公式テキストというのを6月に買い、試験は12月なので、余裕をかましてテキストはパラパラみただけで過去問も解かず、10月頃にはじめて過去問をやってみると全く歯が立ちません。4択ですが、例えばこんな問題。

 開山の清玉が本能寺の変で自刃した織田信長らの遺灰を密かに集めて祀ったといわれ、境内に信長父子や森蘭丸ら家臣の墓がある寺院はどこか。(第6回の2級問題より)
 ①金戒光明寺 ②清浄華院 ③阿弥陀寺 ④瑞泉寺
(答えは末尾に)

 2級の問題は公式テキストから70%出題され、かつ合格ラインが70%ですから、テキストをしっかりやっていればギリギリ受かります。しかし、「歴史、史跡、神社・寺院、建築・庭園・美術、伝統工芸、伝統文化、花街、祭と行事、京料理、京菓子、ならわし、ことばと伝説、地名、自然、観光等、京都に関すること全般」という出題範囲です。ものが「京都」ですから、それぞれのジャンルに山程のコンテンツがあるのがこの試験の怖さ。テキストも本文だけで350頁もありました。10月以降はどこに行くにもテキストを携え、仕事中に神社寺院に出逢えば由緒を読み、和菓子屋があれば入って買い、という毎日。試験本番も受験者全員がピリピリした雰囲気で真剣に挑んでいることがわかりました。タクシーの運転手さんも多かったようです。結果、ほんとうにギリギリの70点で辛くも合格したのでした。

 京都検定は合格すると京都の主なホテルのレストランが割引されるという特典もついていますが、何より京都のことをちゃんと勉強できたことが、その後の普段の生活や仕事にも役に立っています。その後、私は検定ものにはまり、別の検定にもチャレンジしました。それは「日本さかな検定(愛称ととけん)」。その話はまた次回に。

(答え ③阿弥陀寺 上京区の寺町今出川上ルにあります。学生時代このすぐ近くに住んでいたのに全く知りませんでした…)

【2022年4月記】